野人たちのたくらみ



特集:移住 文=牧 大介 絵=上川 七菜

都の山の奥の奥。京都府南丹市美山町の最も奥に、田歌舎、江和ランド、芦生自然学校という、3つの根城を張った野人たち。彼らの企みとは何か。きっと、野人な人達を美山で増やしたいのだろう。美山では、人がそこにある自然と真剣に向き合って生きていく力を取り戻すことできる。そこで人はこんなにも元気に生きていけるんだっていうことを証明していきたいんだろう。しかし、それには人数がいる。自分達だけでは限界があって。日本の自然は複雑で多様だ。機械化して、大型化して生産性を高めてお金を稼ぐということには向かない。しかし、自給的な豊かな暮らしを実現することはできる。

美山町の中でも、このままいくと間違いなく消滅する集落が出て来る。野生復帰して、自給的な暮らしの中で山や田畑と向き合って生きていく人達が出てきたら、消滅しかかった集落を再生させていけるかもしれない。たとえば、現在では自然に松茸が沢山生えていたかつての時代より、松茸の値段ははるかに高い。美山では、ちゃんと手を入れていけば、まだまだ沢山松茸が出てくるような山に戻していける可能性がある。結構お金にもなる。かつて、人間が元気で自然と向き合って里山を維持してきた時代の豊かさを、いくらか取り戻せた時に、そういった物の価値は、昔よりずっと高くなっているので、それが糧になるはずなのだ。丁寧な自給的な暮らしの先に、しっかりとお金を稼ぐという可能性もあるだろう。

そんなふうに、もともとポテンシャルがあるのに、その力を取り戻していくことを、クソ真面目にやっている地域は全国的にもなかなか無くて「経済的に合わないよね」と、日本中ほとんどの人が思って諦めている。もしそこで諦めずにやりきっていく集団が出来たとしたら、可能性は大きい。天然の松茸だったり鮎だったり、これからどんどん高級食材になっていく。美山で、そういうものを真剣に取り戻す。

取り戻すっていうことは、そこに住む人たちが野生力を取り戻さないとできない。松茸だけでなく、人が自然と向き合う野生力があれば経済的な価値を引き出してくことができるものはいろいろある。鹿肉だって低カロリーで、欲しい人いっぱいいるのに、獲れる人がいなくて、供給が間に合わない。獲る人が増えればますます供給できる。狩猟は、「自分の命を総動員して、鹿の命を取りにいく」っていう営みだ。田歌舎の長、藤原さんも一回猟に出ると2キロ体重が減るって言う程だから、相当な野生力がいる。

そういうことができる人の集団が勢力を拡大していくことが、その地域の人達の自然を面的に取り戻していくことになる。生態系っていうのは面的に存在するシステムなので、点のレベルですぐれた野人が一人いてもダメで、生態系の一員として生きていく人間が勢力的に増えないとどうしようもない。そういう人達が増えていき、鹿肉だったり松茸だったりの余剰を販売していける会社が、野生復帰計画だ。ここにいる人達は、人間っていう生き物は、これくらいのことまでできる、っていうことを沢山の人達と実証していきたい人達なんじゃないかなあ。只今、そんな野人達のたくらみに乗って、野人の一員になってみようかなあと思う人を募集中だ。

最近、いろんなところで縄文的な狩猟採集的な生き方への関心が高まっている。狩猟女子がムーブメントになってきていたり、田舎に移住したい人達がいっぱいいたり。なにかそういうものに人が憧れている雰囲気がある。その中では、美山の野人達は、最先端な人達だと思う。

大企業も戦後、創業時はあの人達も山賊海賊の類いだったわけだけど。

今は、超エスタブリッシュメントで、官僚的にクリエイティビティを引きずり降ろしていく存在に成り下がっている。だから大企業で人が幸せに生きていくのは難しくなってきている。人間の中には、もっとクリエイティブになにかを生み出していきたいエネルギーがある。そっち方面のエネルギーが高い人達が行き場所がなくて、結果として日本の田舎がフロンティアになってきているんじゃないかなあ。もう田舎というのは充分壊れてしまった世界なので、フロンティア感があるのかもしれない。

子供の頃から、ナウシカとかトトロとか、宮崎アニメ見て育ってきた人達が、遂に自分の人生を生きていかなければいけない世代に到達してきている。彼らには、かなり根っこに宮崎駿がすり込まれているから、そういう人達がどこを目指して冒険の旅に出るのかっていうときに、田舎っていうのはその対象になる場所なんじゃないかな。

美山っていうところを、野人の一大拠点にしていこうぜ、っていう試みに参加してほしい。

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